今月21日に発売された『SALTY』をご覧になって気付いた方も多いだろうが、長期に渡り連載してきた『暗釣模索』が載っていない。前号(12月21日発売)をもって終了したためだ。
スタートは『SALTY』の前身である『ルアーフィッシング情報』創刊時の1996年。実に15年以上続いた連載であった。
ご愛読いただいた方々には、この場を持って心より謝意を表したい。
ありがとうございました。
振り返ってみれば、ずいぶん色々なメディアでエッセイを書かせていただいている。
これまでにいったい、どれほどの本数を書いてきたのか、見当すらつかない。
仕事といえば仕事なのだが、釣り同様、エッセイを書くのが大好きなのである。
そこで、多くの釣り人の目にとまっていないだろうとおもわれるエッセイを、今後、このブログ内にて少しずつ紹介してゆこうとおもう。題して『蔵出しエッセイ』。
ハードディスクに納めたデータを紐解く作業そのものも、きっと楽しいに違いない。
沖縄帰り直後でもあり、まずは、こんなエッセイから……。
<美しい海よ永遠に>
「今まで行った中で最もきれいだった海はどこですか」と問われ、モルジブか? チューク(旧トラック諸島)か? ヤップか? と答えに窮したことが幾度もある。
赤道周辺の、流入河川の少ないサンゴ礁帯の海ならば、透明度は少なくとも30メートル、条件次第では50メートルに達することもあるのだ。
世界を見渡せば、類する海はあまりに多く、どこか一カ所に軍配をあげるのは難しい。
これがもし、「日本国内で」という条件付きなら、即答できる。
一つは、沖縄県多良間島の北に位置する、水納島の北側。
流入河川が全くないという環境に加え、島の南側に1家族が住んでいるだけという人為的要因も大いに影響しているに違いない。しかも、外洋に面していて潮通しがすこぶるよい。
もう随分前のことであるが、多良間島でボートをチャーターし、GT(ロウジンアジ)フィッシングに出掛けた際、あまりの透明度に驚いたことを今でも忘れない。
うっすら海底が確認できるあたりで魚群探知機を確認してみると、水深はナント40メートル超。
前述の自然環境、および人為的要因に変化がないことから、いまなお、変わらぬ透明度が保たれているものと確信している。
もう一つの海は、やはり沖縄県内。日本最西端の島として知られる与那国島。
東崎(あがりざき)と祖内港の間に小ぢんまりとたたずむ白砂海岸がある。国道から見ることはできないし、牧場の中を突っ切って海岸に出なければならないという立地からあまり知られていないが、その浜から泳ぎ出しほんの少し潜って見る水中光景は、まさに絶景。
何せ、水深3メートルほどの海底にへばりついて遠くを眺めてみると、多少サンゴで凸凹はしているものの、はるか先に地平線が見えるのだ。
水中で地平線が見えるということは、すなわち、透明度が限りなく無限大に近いということ。
浅くて太陽光が入りやすいという好条件もあるのだろうが、ともあれ驚愕の美しさである。
そして最後にはっきり言っておかなければならないのは、日本の誇る美しい海は、世界中のどの海と比較しても決してひけをとらないということ。
美しい自然環境が、いつまでも維持されることを願って止まない。